本文へスキップ
チーム営業:部門間連携の作り方
10月 7, 2026 ・ 営業サポート
SALES KNOWLEDGE

チーム営業の部門間連携:営業とほかの部門が協力するための考え方

「営業が無理な約束をしてくる」「制作が顧客の事情を分かっていない」。
営業と、マーケティングや制作、サービスといったほかの部門との間では、こうした不満が生まれがちです。
顧客から見れば同じ会社なのに、社内では部門ごとに違う方向を向いている。
この記事では、部門間の対立がなぜ起きるのか、どこまで連携すればよいのかを、3つの研究をもとに整理します。

営業とほかの部門は、なぜぶつかりやすいのか

部門間の連携を考えるには、まず、なぜ対立が起きるのかを知っておく必要があります。
その手がかりになるのが、2006年にフィリップ・コトラー氏、ニール・ラッカム氏らがハーバード・ビジネス・レビュー誌に発表した論文です。

コトラー氏らは、多くの企業で営業部門とマーケティング部門の関係を調べました。
そこで繰り返し見られたのは、売上が振るわないときの責任の押しつけ合いです。
マーケティング部門は「計画は優れていたのに、営業の実行がまずかった」と考え、営業部門は「価格が高すぎるうえに、予算を使いすぎている」と考える。
互いに、相手のせいで成果が出ないと感じているのです。

コトラー氏らは、こうした対立の原因を「経済的なもの」と「文化的なもの」の2つに分けています。
経済的な原因とは、限られた予算や人員を、どちらの部門に回すかという取り合いです。
文化的な原因とは、仕事の進め方や見ている時間の長さの違いです。
目の前の顧客と今月の数字を追う営業と、市場全体を見て数か月先を考えるマーケティングとでは、同じ出来事でも見え方が違います。

これは、営業とマーケティングに限った話ではありません。
営業と制作、営業と顧客サポートの間でも、同じような構図が生まれます。
たとえば、営業が受注を急いで短い納期を約束し、制作の現場がその無理をかぶる。
制作から見れば営業は「現場を分かっていない」し、営業から見れば制作は「顧客の事情を分かっていない」。
どちらかが悪いのではなく、役割の違いそのものが、ぶつかる原因になっているのです。

部門間の関係には、4つの段階がある

では、どのような関係を目指せばよいのでしょうか。
コトラー氏らは、営業とマーケティングの関係を、4つの段階に分けて整理しています。

1つ目は「未定義」の段階です。
それぞれが自分の仕事だけに集中し、話し合うのは問題が起きたときだけです。
2つ目は「定義済み」の段階です。
もめごとを防ぐためのルールがあり、たとえば「リード(見込み客)とは何を指すか」といった、もめやすい言葉の定義が共有されています。
3つ目は「連携」の段階です。
計画や研修を一緒に行い、互いの仕事に少しずつ踏み込みます。
4つ目は「統合」の段階です。
仕組みや成果の指標、評価までを共有し、「成功も失敗も一緒」という前提で動きます。

ここで大切なのは、コトラー氏ら自身が、すべての企業が4つ目を目指すべきだとは言っていないことです。
連携を強めることが、いつも必要なわけではないと、論文の中で明記しています。
会社の規模や商品の性質によっては、2つ目の「定義済み」で十分な場合もあるのです。

とくに、2つ目の段階にある「言葉の定義をそろえる」ことは、どの組織でもすぐに始められます。
営業が「見込みあり」と言うときと、マーケティングが「見込みあり」と言うときで、指している相手が違えば、話がかみ合うはずがありません。
リードの数と質を見分ける考え方は、以前の記事(「リード獲得の課題を解決する:数と質の両面から考える営業の打ち手」)で扱いました。

考え方の違いは、なくせばよいわけではない

部門間の対立を減らすには、考え方の違いをなくせばよい。
そう考えたくなりますが、研究はもう少し複雑な結果を示しています。

2007年、ドイツのマーケティング研究者クリスティアン・ホンブルク氏とオーレ・イェンセン氏は、営業とマーケティングの「考え方の違い」が、事業の成果にどう影響するかを調べました。
その結果、全体としては、考え方の違いは両部門の協力を妨げ、事業の成果を下げていました。
ところが、違いの種類によっては、むしろ成果を高めるものがあったのです。

成果を高めていたのは、2つの違いでした。
1つは、片方が「顧客の代弁者」、もう片方が「商品の代弁者」の立場をとっている場合です。
もう1つは、片方が「短期的な視点」、もう片方が「長期的な視点」に立っている場合です。
こうした違いは、協力のしにくさというマイナスを差し引いても、なお成果を押し上げていました。

反対に、成果を下げていたのは、商品知識の差や、人と接するスキルの差でした。
片方が商品をよく知らない、あるいは相手とうまくやり取りできないという違いは、役割の違いではなく、単なる力量の差だからです。

この結果を、営業と制作の関係に置き換えてみます。
営業が顧客の要望を強く代弁し、制作が品質や実現性の立場から意見を言う。
この緊張関係は、うまく扱えば、顧客の要望にも品質にも応える成果につながります。
問題は違いがあることではなく、その違いが「役割の違い」なのか「知識や力量の不足」なのかを、見分けられていないことなのかもしれません。

協力は、多ければよいわけでもない

部門間の連携については、もう1つ押さえておきたい視点があります。
協力には、コストもかかるということです。

2009年、経営学者のモーテン・ハンセン氏は、ハーバード・ビジネス・レビュー誌に「社内の協力が会社に悪影響を与えるとき」という論文を発表しました。
ハンセン氏は、協力すれば必ず成果が上がるわけではなく、悪い協力は、協力しないよりも悪いと指摘しています。
資源の取り合いや目標の調整に時間を取られ、本来の仕事が進まなくなるからです。

ハンセン氏は、協力するかどうかを判断する方法として、「協力のプレミアム」という考え方を示しました。
協力によって得られる見込みの成果から、協力にかかる手間と、その時間でほかにできたはずのことを差し引く。
それでもなお残るものがあるときだけ、協力する価値がある、という考え方です。

正直なところ、小さな組織ほど、この考え方は実感しやすいのではないでしょうか。
定例の会議を増やし、すべての案件を全員で共有しようとすると、それだけで1日が終わってしまいます。
連携を深めることそのものが目的になると、顧客のために使える時間がかえって減っていくのです。

連携を始めるための、小さな一歩

3つの研究を合わせると、部門間の連携で大切なのは、何でも一緒にやることではありません。
ぶつかる原因を知り、違いを活かし、必要な場面に絞って協力することです。

そのための最初の一歩として勧めたいのは、受注から納品までの「引き継ぎ」をそろえることです。
たとえば、営業が受注した仕事を制作に渡すとき、顧客の目的、予算、納期、そして商談で約束したことを、決まった形式で書き残す。
これだけで、「聞いていない」「そんな約束はしていない」という行き違いの多くは防げます。
コトラー氏らの言う「定義済み」の段階を、もっとも小さな形で始める方法です。

そのうえで、案件が終わったら、うまくいったことと行き違いがあったことを、短い時間で振り返る。
全員が毎回集まる必要はありません。
次の案件に活かせることがあったときだけ、関係する人で話せば十分です。

おわりに

部門間の対立は、誰かが悪いから起きるのではなく、役割が違うからこそ起きるものです。
そして、その違いは、うまく扱えば成果を高める力にもなります。
言葉の定義と引き継ぎをそろえるところから始め、本当に必要な場面に絞って協力する。
顧客から見て「ひとつのチーム」に見える営業は、そうした小さな積み重ねから生まれるのだと思います。

参考にした情報

この記事を共有する
← 営業ノウハウ勉強メモの記事一覧に戻る
FREE CONSULTATION

記事の内容についてのご相談も承ります

映像制作・ホームページ制作・営業支援について、お気軽にお問い合わせください。

  1. 01 現状のヒアリング オンライン30分ほどで、目的・ご予算・時期をお聞きします。
  2. 02 概算お見積りのご提示 内容に合わせた進め方と、費用の目安をご提案します。
  3. 03 ご検討 そのままお持ち帰りいただけます。しつこい営業のご連絡はいたしません。
無料で相談する LINEで相談する