
「F値」って何?:絞り値とボケ効果の関係
前回の記事で、絞り(F値)が明るさとボケに影響することをお伝えしました。
「F値ってよく聞くけど、結局何なの?」という疑問について、今回はもう少し詳しく見ていきます。
F値とは何か
F値は、レンズの中にある「絞り」の開き具合を表す数値です。
レンズの焦点距離を、実際の開口部の大きさで割った値がもとになっており、開口部が大きくなるほど、F値自体の数字は小さくなるという関係になっています。
このため、初めて聞くと直感に反するように感じますが、「F値が小さい=絞りが開いている=光をたくさん取り込める」「F値が大きい=絞りが閉じている=光を取り込む量が少ない」という関係になります。
F値が小さいほどボケる理由
絞りを開く(F値を小さくする)と、レンズを通る光が広い範囲から入ってくるようになります。
この結果、ピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなり、ピントの合った部分以外がボケやすくなる傾向があります。
逆に、絞りを閉じる(F値を大きくする)と、光が入ってくる範囲が狭まり、ピントが合う範囲が広がるため、手前から奥まで比較的くっきり写りやすくなります。
F値による明るさの違い
前回の記事でも触れた通り、F値が小さいほど光を多く取り込めるため、映像は明るくなります。
逆にF値が大きいほど、光を取り込む量が減るため、暗くなります。
ボケの強さと明るさは、同じF値という数値によって、同時に決まる関係にあります。
人物撮影でF1.8〜F4が使われることが多い理由
人物を撮影する際は、被写体である人物にピントを合わせつつ、背景をボケさせることで、人物を際立たせるという演出をすることが多くあります。
そのため、F1.8〜F4程度の、比較的絞りを開いた値がよく使われる目安とされています。
際立たせたい被写体がある場合、背景をぼかす演出は効果的な手法です。
初心者が陥りやすい注意点:ボケを追求しすぎない
ここで1つ、注意しておきたい点があります。
F値を下げて背景を大きくボケさせると、映像のクオリティが上がったように感じられ、撮影自体も楽しく感じるものです。
そのため、初心者のうちほど、必要以上にF値を下げてしまいがちです。
しかし、F値を下げすぎると、ピントの合う範囲が非常に狭くなります。
カメラの小さな画面で撮影中に確認しただけでは気づきにくく、撮影場所から帰ってパソコンなどの大きな画面で見返したときに、「実は肝心の被写体にピントが合っていなかった」と気づくケースが、初心者には少なくありません。
撮り直しができないタイミングで気づくと、取り返しがつきません。
ボケを作ること自体が目的ではなく、伝えたい被写体を、伝えたい形できちんと写すことが本来の目的です。
適切なF値を選び、狙った部分にきちんとピントを合わせることは、それ自体が1つの技術です。
ここを見誤ると、ボケた映像ばかりが並んでしまう結果になりかねません。
撮影中は、画面を拡大表示するなどして、ピントが合っているかをその場で必ず確認する習慣をつけることをおすすめします。
風景撮影でF8以上が使われることが多い理由
風景を撮影する際は、手前から奥までできるだけ広い範囲にピントを合わせたいことが多くあります。
そのため、F8以上の、絞りを閉じた値がよく使われる目安とされています。
なお、F値を極端に上げすぎると、光の性質上、かえって画質が落ちる場合があるとされています。
この点については、必要以上に極端な数値にせず、F8〜F11程度を目安にすると扱いやすいでしょう。
お店紹介動画の例で考えると
これまでの記事で例に挙げている、飲食店の3分程度のお店紹介動画で考えてみます。
看板メニューの盛り付けを撮影する際は、F1.8〜F4程度に絞りを開くと、料理が際立って美味しそうに見えやすくなります。
ただし、この際もピントが料理にしっかり合っているか、撮影中にその場で確認することが欠かせません。
一方、お店の外観や店内全体を紹介するカットでは、手前から奥まで見せたい情報が多いため、F8前後の絞った値を使うと、全体がくっきりと写りやすくなります。
まとめ
F値は、絞りの開き具合を表す数値で、小さいほど明るくボケやすく、大きいほど暗くピントの合う範囲が広くなります。
人物撮影ではF1.8〜F4程度、風景撮影ではF8以上が、よく使われる目安とされています。
ただし、ボケを追求しすぎてピントを外してしまうのは、初心者が陥りやすい失敗のひとつです。
適切なF値で、狙った部分にきちんとピントを合わせることを意識しながら、撮影に取り組んでみてください。