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ソニーの動画AFはどう設定する?ピントが「迷う・飛ぶ」を防ぐ仕組みと設定の考え方
11月 3, 2026 ・ 映像制作
VIDEO KNOWLEDGE

ソニーの動画AFはどう設定する?ピントが「迷う・飛ぶ」を防ぐ仕組みと設定の考え方

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インタビューを撮り終えて映像を見返したら、話の途中で背景を横切った人にピントが持っていかれていた。
動画のAFでいちばん悔しいのは、こうした「撮っている最中には気づけなかった失敗」です。
ソニーのカメラには、ピントを移す速さや、別の被写体へ乗り移る感度を決める設定があり、これを撮影の意図に合わせるだけで、こうした失敗はかなり減らせます。
この記事では、ソニー公式の特長ページとヘルプガイドをもとに、AFが被写体を見つける仕組みと、動画のAF設定の決め方を整理します。
機種ごとに認識できる被写体の違いは、各カメラの比較記事で扱っています。

ソニーのAFは「測る・見分ける・追いかける」の3層でできている

設定の意味をつかむために、まずAFの中で何が起きているのかを3つに分けて見ておきます。

1. ピントのずれを測る:像面位相差AF
ソニーのαは、イメージセンサーの上にピントのずれを検出する「位相差AF」の測距点を並べています。
α7 Vでは759点の測距点が撮像領域の約94%を覆っていると、ソニーは説明しています。
ヘルプガイドによれば、AFのエリア内に位相差の測距点があると、位相差AFとコントラストAFをかけ合わせたピント合わせになります。
見落としやすいのは、位相差AFに対応していないレンズでは、この後に紹介する「AFトランジション速度」や「AF乗り移り感度」が使えなくなる点です。
古いレンズやマウントアダプターを使うときは、レンズのアップデートと対応状況を先に確かめておく必要があります。

2. 何を撮っているかを見分ける:AIによる被写体認識
ソニーは、α7C IIなどに積んだ「AIプロセッシングユニット」が、人物の骨格や姿勢の情報をもとに人物を認識すると説明しています。
瞳だけでなく、胴体や頭の位置まで推定するため、カメラに背を向けた人や、ヘルメットで顔が隠れた人も追いかけられるとされています。
2025年に登場したα7 Vでは、AIの処理を画像処理エンジン「BIONZ XR2」に内蔵する形になり、α7 IVと比べて認識性能が約30%向上したとされています(ソニー内部測定)。

3. 見分けた被写体を追いかける:リアルタイムトラッキング
認識できない被写体でも、色や模様、距離といった情報から追いかけ続けるのがリアルタイムトラッキングです。
ここまでの3層が、ピントが「どこに合うか」を決めています。
そして、ピントを「どう動かすか」を決めるのが、次に紹介する動画用の設定です。

動画の性格を決める2つの設定

動画のAFには、静止画にはない2つの設定があります。
どちらも「AFの速さ」ではなく「ピントの動き方」を決めるものだと考えると、使い分けが見えてきます。

AFトランジション速度:ピントを移すときの速さ

ピントを合わせる対象が切り替わったときに、どれくらいの速さでピントを移すかを、7(高速)から1(低速)の7段階で決めます。
ヘルプガイドでは、高速は「すばやくピントを合わせたいとき」、低速は「なめらかにピントを合わせたいとき」に効果的だと説明されています。
α7 Vの初期値は、中間よりやや速い「5」です。

速ければ速いほど良い、というわけではありません。
人がゆっくり振り返る映像で、ピントが一瞬で背景から人物へ切り替わると、見る人には機械的な動きに映ることがあります。
逆に、スポーツのように被写体がすばやく入れ替わる場面で低速にすると、ピントが追いつかず、ぼけた時間が長く映ってしまいます。
ピントの移り変わりそのものを映像の一部として見せたいのか、それとも視聴者に気づかれないように合わせたいのかで、選ぶ数値は変わります。

AF乗り移り感度:別の被写体へ移る敏感さ

被写体がフォーカスエリアから外れたときや、手前に別のものが入ってきたときに、ピントがそちらへ乗り移る敏感さを、5(敏感)から1(粘る)の5段階で決めます。
ヘルプガイドでは、敏感にすると速い被写体やテンポよく被写体を切り替える撮影に、粘る設定にすると不要な被写体に影響されずにピントを合わせ続けたい撮影に便利だとされています。

ここで知っておきたいのは、α7 Vの初期値が最も敏感な「5」になっていることです。
冒頭のインタビューのように、背景を人が横切っただけでピントが持っていかれる場合は、この設定を粘る側へ下げることが、まず試すべき対策になります。
ただし、粘る設定にすると、話し手が少し体を傾けてエリアから外れたときにも、ピントがその場に残りやすくなります。
どこまで下げるかは、一度テストで撮ってみて確かめるのが確実です。

認識対象の「詳細設定」は、動画ではほとんど効かない

α7 Vでは、認識対象ごとに「トラッキング乗り移り範囲」「トラッキング維持特性」「認識感度」といった細かな設定が用意されています。
ところがヘルプガイドには、このうち動物と鳥のどちらを優先するかを決める「認識の優先設定」以外は、静止画撮影モードでのみ有効だと書かれています。
静止画で詰めた設定が、動画にもそのまま効いているとは限らないということです。
動画でピントの粘り方を変えたいときは、ここではなく、先ほどのAF乗り移り感度を調整します。

撮影の場面ごとに考える設定の組み合わせ

ここからは、よくある撮影の場面ごとに、ヘルプガイドの説明をもとに設定の考え方を整理します。
数値は出発点の目安で、レンズや被写体の動きによって最適な値は変わります。

1人を撮るインタビュー
話し手が大きく動かない撮影では、ピントが余計な動きをしないことが最優先です。
乗り移り感度は粘る側に寄せ、認識対象は「人物」にしておきます。
フォーカスエリアを「ワイド」ではなく「ゾーン」にして話し手の周辺に限定すると、背景にピントが逃げる余地そのものを減らせます。
撮影の段取りは、以前の記事(「インタビュー撮影の完全フロー:音声・構図・心理的配慮」)で扱っています。

複数人が並ぶ対談やイベント
複数の人物を認識しているときは、「トラッキング対象顔選択」で、どの人を追いかけるかを選べます。
事前に顔を登録しておけば、「登録顔優先」で特定の人を優先して認識させることもできます。
話し手が交互に変わる場面でピントを移す演出をしたいなら、トランジション速度は遅めにすると、切り替わりが穏やかになります。

歩きながら撮るVlog
被写体との距離が絶えず変わる撮影では、ピントの追従が遅れると、そのままぼけた映像になります。
トランジション速度は初期値前後から始め、乗り移り感度は中間あたりで、すれ違う人への乗り移り具合を見ながら調整します。

商品を手に持って見せる撮影
被写体認識が顔を優先するため、手前に差し出した商品にピントが来ないことがあります。
この場合は、被写体認識を一時的に切るボタン(「押す間認識切」など)を割り当てておくと対処しやすくなります。
ZV-E1などの「商品レビュー用設定」については、以前の記事(「ソニーZV-E1はVlogで何ができる?歩き撮り・商品紹介・置き撮りの機能と限界」)で扱っています。

動画では「トラッキング」の選び方が静止画と違う

静止画に慣れた人が戸惑いやすいのが、トラッキングの扱いです。
α7 Vのヘルプガイドでは、動画モードではフォーカスエリアの「トラッキング」は選べないとされています。

動画で特定の被写体を追いかけたいときは、画面をタッチして追尾を始める「タッチトラッキング」か、カスタムキーに割り当てた「押す間トラッキング」を使います。
どちらも、動画ではフォーカスモードが「コンティニュアスAF」か「マニュアルフォーカス」のときに使えます。
タッチトラッキングは、ジンバルに載せて1人で撮るときでも、モニターに触れるだけで狙いを変えられるのが利点です。

AFに任せきらないための補助機能

AFの精度が上がっても、ピントをどこに置くかを決めるのは撮る人です。
ソニーは、AFとマニュアル操作の間を埋める機能もいくつか用意しています。

「AFアシスト」を入にすると、AFで撮影中にフォーカスリングを回してピントの対象を変えられ、手を離すと、合わせた被写体をAFが追いかけ続けます。
ピント送りを手で始めて、その後の追従はカメラに任せる、という使い方ができます。
「フォーカスマップ」は、ピントの後ろ側を寒色、手前側を暖色の点で重ねて表示し、ピントがどこにあるかをひと目で確かめられる機能で、表示は映像には記録されません。
α7 Vでは、フォーカス位置を登録して呼び出す「プリセットフォーカス/ズーム」も使えますが、動画で使うにはAFアシストを入にしておく必要があります。

静かな場所でカメラの内蔵マイクや近くのマイクで録音するなら、「AF時の絞り駆動」も確認しておきたい設定です。
「フォーカス優先」にすると絞りの駆動音が鳴ることがあり、「サイレント優先」にすると駆動音は抑えられる代わりに、ピント合わせが遅くなったり合いにくくなったりすることがあるとされています。
AFの性能と録音の静かさは、ここでも引き換えの関係にあります。

ヘルプガイドには、暗い場所や逆光、目を閉じている人、メガネをかけた人などでは、うまくピントが合わないことがあると明記されています。
こうした条件がそろう撮影では、AFで撮ることにこだわらず、マニュアルフォーカスで撮るほうが確実な場合もあります。

まとめ

ソニーの動画AFは、位相差AFで測り、AIで見分け、トラッキングで追いかける仕組みで、どこにピントを合わせるかを決めています。
そのピントをどう動かすかを決めるのが、AFトランジション速度と、AF乗り移り感度の2つです。
初期設定のままでは乗り移り感度が最も敏感になっているため、ピントが飛ぶと感じたら、まずここを見直すのが近道です。
そのうえで、ピントの移り変わりを演出として見せたいのか、気づかれないように合わせたいのかを決めれば、自分の撮影に合う数値が見えてくるはずです。

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