
照明の基本:3点照明とは何か
以前の記事で、簡易的な照明を1つ用意するだけでは対応しきれない場面が多いとお伝えしました。
「スタジオみたいな照明は高そう…どうすればいい?」という疑問に対して、今回は「3点照明」という基本的な考え方を紹介します。
3点照明とは
3点照明とは、3つの照明を使い、それぞれに異なる役割を持たせる、映像・写真の照明の基本となる考え方です。
- キーライト(主光源)
- フィルライト(補助光)
- バックライト(逆光・リムライト)
それぞれの役割を見ていきます。
①キーライト(主光源)
被写体を照らす、メインとなる光です。
真正面からではなく、少し斜めの角度から当てることで、被写体に立体感が生まれやすくなります。
真正面から当ててしまうと、影ができにくく、のっぺりとした印象になりやすいとされています。
②フィルライト(補助光)
キーライトとは反対側から当てる、補助的な光です。
キーライトだけだと、被写体の片側に強い影ができてしまうことがあります。
フィルライトを使って、その影をやわらげる役割を持ちます。
キーライトよりも弱めの光量にすることで、立体感を保ったまま、影を軽減できます。
③バックライト(逆光・リムライト)
被写体の後ろ側、やや上から当てる光です。
被写体の輪郭にうっすらと光の線を作ることで、背景から被写体を浮き立たせる効果があります。
背景と被写体の境目がぼんやりしがちな場合に、特に効果を感じやすい照明です。
3灯そろえなくても大丈夫:代用の考え方
3点照明と聞くと、専用の照明機材を3つ用意しなければいけないように感じるかもしれませんが、そうとは限りません。
- キーライトの代用:窓からの自然光を活用できます。時間帯によって光の強さや向きが変わるため、以前の記事で紹介したロケハンで確認しておくとよいでしょう
- フィルライトの代用:白い紙や白いボードを、キーライトの反対側に置くだけでも、光を反射させて影をやわらげる効果があります。専用の反射板でなくても、白い壁やテーブル、明るい色の服なども、同じように光を反射させる役割を果たせます
- バックライトの代用:以前の記事で紹介した、3,000円〜10,000円程度の簡易的なLEDライトでも代用できます
このように、身の回りにあるものを工夫して使うだけでも、3点照明の考え方を再現できます。
専用の道具が無いからといって、あきらめる必要はありません。
光源を足すことだけが正解ではない
ここまで、光を足す・補う方法を中心に紹介してきましたが、光源を増やすことが、常に良い結果につながるとは限りません。
あえて照明機材を使わず、自然光だけで撮影することで、その場の空気感や雰囲気を、より強く演出できる場合もあります。
窓から差し込む光の陰影をそのまま活かすことで、人工的な光では出しにくい、独特の質感が生まれることもあります。
つまり、「光源があればあるほど良い」というものではなく、伝えたい雰囲気に応じて、光を足すか、あえて足さないかを判断することが大切です。
とはいえ、いざというときにキーライト・フィルライト・バックライトの役割や、光の使い方を理解していれば、状況に応じて映像のクオリティを一段引き上げることができます。
基本の考え方を知ったうえで、それをそのまま使うか、あえて使わないかを、狙った雰囲気に応じて選べるようになることが理想です。
いきなり3灯そろえる必要はない
以前の記事でもお伝えした通り、照明は少しずつ足していく形で問題ありません。
まずは窓からの自然光をキーライトとして活用し、影が気になる場合に白い紙や板でフィルライトを補い、背景との分離が気になってきたらバックライトを検討する、という順番でも十分です。
お店紹介動画の例で考えると
これまでの記事で例に挙げている、飲食店の3分程度のお店紹介動画で考えてみます。
スタッフのコメントを撮影する際、窓の近くに立ってもらうと、自然光をキーライトとして活用できます。
反対側に白い紙やメニュー表などを軽く添えるだけでも、顔の影をやわらげるフィルライトの代わりになります。
背景と人物の境目がぼんやりして見える場合は、簡易的なLEDライトを1つ、後ろ側から当ててみると、被写体が背景から浮き立って見えやすくなります。
逆に、店内の落ち着いた雰囲気をそのまま伝えたい場合は、照明を足さず、自然光だけで撮影するという選択も考えられます。
まとめ
3点照明は、キーライト(主光源)・フィルライト(補助光)・バックライト(逆光)という3つの役割を組み合わせる考え方です。
専用の照明機材を3つそろえなくても、自然光や白い紙、身の回りにあるものでも代用できます。
一方で、光源を足すことが常に正解というわけではなく、自然光だけで撮ることで生まれる雰囲気もあります。
光の使い方を理解したうえで、足すか足さないかを選べるようになることが、映像のクオリティを引き上げる一歩になります。