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営業職のキャリア設計:管理職へのステップアップ戦略
9月 25, 2026 ・ 営業サポート
SALES KNOWLEDGE

営業職のキャリア設計:管理職へのステップアップ戦略

「営業成績がいい人が管理職に向いている」とは限らない

営業として成果を出し続けると、多くの会社では「次はマネージャーへ」という話が出てきます。

しかし、これには注意が必要だという、経済学の実証研究があります。

組織学者ローレンス・J・ピーター氏が1969年に提唱した「ピーターの法則」は、「人は、自分がまだ能力を発揮できるポジションにいる間は昇進し続け、最終的に自分の無能レベルに達するまで昇進する」という考え方です。

これは長らく経験則・皮肉として語られてきましたが、2019年、経済学者のアラン・ベンソン氏、ダニエル・リー氏、ケリー・シュー氏が、学術誌『Quarterly Journal of Economics』に実証研究を発表しました。

131社・約4万人の営業職とその管理者のデータを分析した結果、企業は営業成績の良い人を優先的に管理職へ昇進させる傾向があるが、その人たちは実際には「悪い管理職」になりやすいことが示されました。

さらに、営業成績以外にも、管理職としての適性をより正確に予測できる指標(部下への働きかけ方など)が観測できていたにもかかわらず、多くの企業はそれを昇進判断に十分活かせていなかったことも分かっています。

つまり「営業成績が良い=管理職に向いている」は、データの裏付けがない思い込みだということです。

プレイヤーとマネージャーでは、求められる力が違う

営業成績を出すために必要な力と、チームを率いるために必要な力は、重なる部分もありますが、別物です。

自分自身が数字を作る「プレイヤー」の役割に対して、「マネージャー」には、部下の商談に同行して育成する、チーム全体の目標達成のために配分や優先順位を調整する、自分が売れなくてもチームが売れる仕組みを作る、といった、性質の異なる力が求められます。

実務では、プレイヤーとマネージャーの両方を兼ねる「プレイングマネージャー」という形で移行することが多く、この場合、自分自身の数字を追うことを優先してしまい、本来のマネジメント業務(部下の育成や仕組みづくり)が手薄になりやすいという課題が、複数の調査で指摘されています。

つまり、「自分がどれだけ売れるか」から「チームがどれだけ売れる状態を作れるか」へと、成果の定義そのものを切り替える必要があるということです。

管理職だけがキャリアの正解ではない

ここまでの内容は、「管理職を目指すべきではない」という意味ではありません。

むしろ大切なのは、「昇進の打診があったから」という理由だけで管理職を選ばないことです。

近年は多くの企業で、管理職コースとは別に、現場のプレイヤーとして専門性を高め続ける「専門職コース」を用意する動きも広がっています。

以前の記事(「営業成功者の共通点:何が違うのか?特性と習慣分析」)で触れた通り、成果を出し続けられる特性・行動は人によって異なります。

自分が「人を育てること」「チームの仕組みを作ること」に手応えを感じるタイプなのか、「自分自身が商談で成果を出し続けること」に一番の強みがあるタイプなのかを見極めることが、管理職に進むかどうかの判断以前に必要な自己分析です。

管理職を目指すなら、今から準備できること

管理職を目指す意思がある場合、昇進を待つのではなく、今のうちから準備できることがあります。

後輩や新人の同行・OJTを自分から引き受け、「教える」経験を積んでおくことは、最も直接的な準備になります。

自分の商談ノウハウを、感覚ではなく言語化できる形(トークスクリプト、チェックリストなど)にしておくと、人に教える際の土台になります。

チーム全体の数字や動きに関心を持ち、「自分の案件」だけでなく「チームの案件」がどう進んでいるかを把握する習慣をつけておくことも、マネージャー視点への切り替え練習になります。

今日からできること

今の自分が「プレイヤーとして力を発揮したいタイプ」なのか「人やチームを育てることに関心があるタイプ」なのか、一度紙に書き出して整理してみてください。

後輩がいる場合は、次の同行や相談の機会に、答えを教えるのではなく「どう考えたらいいと思う?」と問いかけてみてください。

管理職への打診があった・検討している場合は、この記事の内容を判断材料の1つとして、周囲の信頼できる人にも相談してみてください。

まとめ

営業成績の良さと、管理職としての適性は、別の能力であることが実証研究でも示されています。

管理職に進むこと自体は悪いことではありませんが、「打診されたから」ではなく、自分がどちらのタイプかを見極めた上で選ぶことが、後悔のないキャリア設計につながります。

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