
カメラ距離による表現:ワイド・ミディアム・クローズアップ
前回の記事では、構図の基本について取り上げました。
今回は、もう1つの重要な要素、「カメラ距離(ショットサイズ)」について解説します。
「同じ被写体でも、距離で印象は変わる?」という疑問に答えていきます。
カメラ距離(ショットサイズ)とは
カメラ距離(ショットサイズ)とは、被写体からカメラをどれくらい離して撮るか、つまり被写体が画面にどれくらいの大きさで写るかということです。
同じ被写体、同じ場所であっても、この距離を変えるだけで、映像から伝わる印象は大きく変わります。
主なショットサイズの種類
ショットサイズは、大きく3つに分けて考えることができます。
- ワイドショット(引きの画):被写体とその周囲の環境を、広く写すショットです。「どこで」「どんな状況で」撮っているのかを伝える役割があります
- ミディアムショット(バストアップなど):被写体を腰から上、または胸から上程度で写すショットです。周囲の状況と、被写体の表情や動きの両方をバランスよく伝えられます
- クローズアップ(顔アップなど):被写体の顔や、注目してほしい部分を大きく写すショットです。表情や細部を強調し、感情を伝えやすくなります
なぜ複数のショットサイズを組み合わせる必要があるのか
同じ距離のショットだけで動画をつなぐと、単調な印象になりやすく、視聴者が飽きてしまう原因になります。
また、ワイドショットだけでは表情の細かい変化が伝わりにくく、クローズアップだけでは「どこで何をしているのか」という状況が伝わりにくくなります。
ワイドショットで状況を伝え、ミディアムショットで全体のやり取りを見せ、クローズアップで感情や細部を強調する、というように、複数のショットサイズを組み合わせることで、視聴者に飽きさせず、必要な情報をバランスよく伝えられます。
最低限そろえておきたいショットの種類
撮影時間が限られている場合でも、同じシーンについて、最低限「ワイド」「バストアップ」「顔アップ」の3つの距離感で撮っておくことをおすすめします。
この3種類さえあれば、編集の段階で、状況説明・自然なやり取り・感情の強調を組み合わせた、テンポの良い映像を組み立てやすくなります。
逆に、1つの距離感でしか撮っていないと、編集の選択肢が限られてしまい、後から「別の距離感のカットが欲しい」と感じても撮り直しができない場合があります。
お店紹介動画の例で考えると
これまでの記事で例に挙げている、飲食店の3分程度のお店紹介動画で考えてみます。
スタッフのコメントを撮影する際は、まず店内全体が分かるワイドショットを撮り、次にコメントのメインとなるバストアップショット、そして印象的な発言のタイミングで顔アップのクローズアップを撮っておくと、編集でメリハリのある構成にしやすくなります。
料理を撮影する際も、テーブル全体を写すワイドショット、他の器と一緒に写すミディアムショット、料理そのものを大きく見せるクローズアップの3つを撮っておくと、より魅力的に仕上げやすくなります。
まとめ
ショットサイズには、ワイド・ミディアム・クローズアップという3つの基本があり、それぞれ伝えられる情報や印象が異なります。
同じシーンでも、最低限この3つの距離感で撮っておくことで、編集の選択肢が広がり、テンポの良い映像に仕上げやすくなります。
撮影の際は、1つの距離感だけで終わらせず、複数のショットサイズを意識して撮ってみてください。