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ソニー α1とα1 IIの違い:記録できる映像はほぼ同じ、変わったのは「撮りやすさ」
10月 20, 2026 ・ 映像制作
VIDEO KNOWLEDGE

ソニー α1とα1 IIの違い:記録できる映像はほぼ同じ、変わったのは「撮りやすさ」

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α1 IIは、ソニーのフルサイズミラーレスの最上位機であるα1の後継機です。
ところが、2機種の主な仕様を並べてみると、動画として記録できる形式はほとんど変わっていません。
では、何が変わったのか。
この記事では、ソニー公式サイトの主な仕様をもとに、α1とα1 IIの違いを映像制作の視点で整理し、前の世代のα1を選ぶ余地がどこにあるのかを考えます。

記録できる映像は、ほとんど変わっていない

最初に、動画の記録に関わる仕様を比べると、2機種はほぼ同じであることが分かります。

  • 8K:どちらも8K(7680×4320)で30pと24pに対応し、4:2:2 10bit、最大520Mbpsで記録できます
  • 4K:どちらも4Kで最大120pまで記録できます
  • 編集向けの高ビットレート記録:どちらも「XAVC S-I」形式の4K 60pで600Mbpsに対応しています
  • RAW映像の外部出力:どちらもHDMI経由で外部レコーダーへのRAW出力に対応しています
  • センサー:どちらも約5010万画素の積層型センサー「Exmor RS」です
  • ファインダー:どちらも約944万ドットで、表示の滑らかさを最大240fpsまで上げられます
  • 記録メディア:どちらも2つのスロットの両方がCFexpress Type AとSDカードに対応しています

つまり、「どんな映像が記録できるか」という点では、α1の時点ですでに完成されていたと言えます。
世代交代で変わったのは、その映像を「どれだけ確実に、楽に撮れるか」の部分です。

変わったところ1:動画のAFが「人物だけ」から「乗り物まで」に

映像制作の視点で最も大きな違いは、動画撮影時の被写体認識です。

α1の主な仕様を見ると、静止画では人物・動物・鳥を認識できますが、動画で認識できるのは人物だけです。
一方のα1 IIは、静止画と動画のどちらでも、人物・動物・鳥・昆虫・車・列車・飛行機を認識でき、被写体の種類をカメラが自動で判断する「オート」も選べます。

さらにα1 IIには、動画用のピント関連の機能として「フォーカスマップ」と「AFアシスト」が加わっています。
フォーカスマップは、画面の中でピントが合っている範囲とそうでない範囲を、色で重ねて表示する機能です。
背景をどれくらいぼかせているかを、撮影中に目で確かめやすくなります。

実制作でどう使うか

  • 人物以外を動画で追うなら、この差は決定的になる:ペットや野鳥、車や鉄道など、人物以外の被写体を動画で追う撮影では、α1では被写体認識に頼れません。こうした撮影が多いなら、α1 IIを選ぶ理由ははっきりしています
  • 人物中心の撮影なら、α1でも困る場面は少ない:インタビューや企業紹介のように、人物を中心に撮る場合は、α1でも動画で人物の瞳や顔を認識できます。人物を撮るときの段取りやカメラの置き方は、以前の記事(「インタビュー撮影の完全フロー:音声・構図・心理的配慮」)で扱いました
  • 1人で撮る現場ほど、ピントの確認手段が効いてくる:ワンオペでは、構図や音声を見ながらピントまで細かく確かめる余裕がありません。フォーカスマップのように、ピントの状態がひと目で分かる表示は、撮り直しのきかない現場で安心材料になります

変わったところ2:手ブレ補正と、ピント送りでの画角の変化

撮影中の映像の安定感に関わる部分も、世代の違いが表れています。

手ブレ補正:α1は「5.5段」、α1 IIは「中央8.5段・周辺7.0段」と記載されています。
ただし、α1は従来のCIPA規格で縦と横の揺れ(ピッチ・ヨー)に対する効果を、Planar T* FE 50mm F1.4 ZAを付けて測った値です。
α1 IIは新しいCIPA2024規格で、回転方向の揺れ(ロール)も含めた効果を、FE 50mm F1.2 GMを付けて測った値です。
規格もレンズも異なるため、数字の差をそのまま性能差と読むことはできません。
ただ、動画用の補正モードに「ダイナミックアクティブ」が加わっている点は、α1にはない違いです。

ブリージング補正:α1 IIでは、レンズの補正機能の項目に「ブリージング(動画)」が加わっています。
ブリージングとは、ピントの位置を動かしたときに、画角がわずかに広がったり狭まったりする現象のことです。
手前の人物から奥の人物へピントを送るような演出では、画角が揺れて見えると、視聴者の注意がそちらに向いてしまうことがあります。
補正の効果は使うレンズによって異なるため、対応するレンズはソニーの公式情報で確認しておく必要があります。

実制作でどう使うか

変わったところ3:モニターと本体の大きさ

撮影中に毎回触れる部分も、目に見えて変わっています。

  • 液晶モニター:α1は3.0型・約144万ドットで、上下に角度を変えるチルト式です。α1 IIは3.2型・約210万ドットで、上下に加えて横にも開き、回転させることができます
  • 本体の大きさ:横幅はα1が約128.9mm、α1 IIが約136.1mmと、α1 IIのほうが約7mm大きくなっています
  • 重さ(バッテリーとメモリーカードを含む):α1が約737g、α1 IIが約743gで、差は約6gです

α1のチルト式モニターは、横に開くことができません。
カメラを縦位置に構えて撮る場合や、自分を撮る場合には、モニターを確認しにくい場面があります。

実制作でどう使うか

  • 縦型動画を撮るなら、モニターの構造が効いてくる:ショート動画のように、カメラを縦に構えて撮る機会が増えています。α1 IIのモニターは横に開いて回転できるため、縦位置でも画面を確認しやすくなります
  • ジンバルやケージを使う場合は、横幅の違いを確認する:本体の横幅が約7mm違うため、α1用に用意したケージ(カメラを囲う金属の枠)などのアクセサリーが、そのままα1 IIに合うとは限りません。買い替えの際は、手持ちのアクセサリーの対応機種を確認しておく必要があります

変わったところ4:写真と通信まわり

映像制作の主役ではありませんが、写真や納品の流れに関わる違いもあります。

  • プリ撮影:α1 IIの主な仕様には、シャッターボタンを押す前の瞬間までさかのぼって記録できる「プリ撮影」が記載されています。α1の主な仕様には記載がありません
  • 有線LAN:α1は最大1000BASE-T、α1 IIは最大2.5GBASE-Tに対応しています。撮影したデータを、ケーブルでサーバーなどへ送る運用では、通信の上限が引き上げられています

変わらない、あるいはわずかに短くなったところ

すべての項目で新しい世代が上回っているわけではありません。

バッテリーの持ちは、実動画撮影時(ファインダー使用時)でα1が約90分、α1 IIが約85分と、わずかに短くなっています。
どちらも同じ「NP-FZ100」というバッテリーを使うため、α1から買い替える場合でも、手持ちの予備バッテリーをそのまま使えます。

連写の速さは、どちらも電子シャッターで最高約30コマ/秒、連写を続けられる枚数もRAWで238枚と240枚と、ほぼ同じです。

α1で十分なケース、α1 IIを選ぶべきケース

α1で十分と考えられるケース:撮影の中心が人物で、横位置の映像が主な用途という場合です。8K 30p・4:2:2 10bit、4K 120p、RAW出力といった記録の仕様はα1 IIとほぼ同じため、仕上がる映像そのものに大きな差は生まれにくいと考えられます。前の世代のモデルは、時期によっては選びやすい価格になることもあり、浮いた予算をレンズや照明に回すという考え方も成り立ちます。中古品を選ぶ場合は、保証の有無やシャッター回数、センサーの状態を必ず確認してください。

α1 IIを選ぶべきと考えられるケース:動物や乗り物など人物以外の被写体を動画で追う、ピント送りの演出を多用する、縦型動画を撮る機会が多い、1人で撮影をこなす、といった場合です。とくに動画での被写体認識の差は、α1では設定や機材の工夫で補えない部分のため、こうした撮影が多いなら、α1 IIを選ぶ理由ははっきりしています。

現行の4機種の中でのα1 IIの位置づけについては、以前の記事(「ソニーのフルサイズミラーレス比較:α1 II・α7R VI・α7 V・α7C IIの選び方」)で扱いました。

まとめ

α1とα1 IIは、8K・4K 120p・RAW出力といった、記録できる映像の仕様がほぼ同じです。
世代交代で変わったのは、動画での被写体認識、手ブレ補正のモード、ブリージング補正、横にも開くモニターといった、「確実に、楽に撮る」ための部分でした。
人物中心の横位置の撮影ならα1でも十分に戦え、人物以外の被写体や縦型動画、ピント送りの演出が多いならα1 IIを選ぶ。
最上位機どうしの比較だからこそ、スペック表の数字よりも、自分の撮影で何が楽になるのかを基準に選ぶことが大切です。

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