
営業資料のビジュアル化:チャート・図解で分かりやすく伝える
言葉だけの資料が伝わりにくい理由
文字だけでびっしり埋まった資料は、内容が正確でも、相手に伝わりにくいことがあります。
心理学者アラン・パイヴィオ氏は1971年、「二重符号化理論」という考え方を提唱しました。
これは、人間の脳が情報を処理する際、「言語(言葉)」と「イメージ(視覚)」という2つの異なる経路を使っており、両方を組み合わせて情報が与えられると、記憶への定着や理解が高まるという理論です。
つまり、同じ内容でも、文章だけで説明するより、グラフや図解を添えた方が、脳の中でより多くの経路を使って処理されるため、理解されやすく、記憶にも残りやすいということです。
以前の記事(「営業提案資料の作り方:顧客を動かす説得ロジック」)で扱ったピラミッド原則(結論を頂点に、根拠を積み上げる構成)を、文章だけでなく、グラフや図として視覚化することが、今回のテーマです。
グラフの種類と使い分け

グラフは、伝えたい内容によって適切な種類を選ぶ必要があります。
棒グラフは、複数の項目を並べて比較するのに向いています。
「導入前と導入後の比較」「競合他社との比較」など、大小を比べたいときに使います。
折れ線グラフは、時系列での変化・推移を見せるのに向いています。
「導入から半年間の効果の推移」のように、時間の経過にともなう変化を伝えたいときに使います。
円グラフは、全体に対する内訳・構成比を見せるのに向いています。
ただし、項目数が多くなると読み取りにくくなるため、多くても5項目程度までに絞り込むのが基本です。
また、円グラフは項目同士の細かい数値比較には向いていないため、数値の大小を比較したい場合は棒グラフを選びます。
図解で気をつけたいポイント
グラフを入れる際は、1枚のスライド・1つの図に、伝えたいメッセージを1つに絞り込みます。
これは、以前の記事で扱ったピラミッド原則の「1メッセージ1スライド」という考え方と同じです。
装飾のための3Dグラフや、過度に凝った配色は、見た目は華やかでも、かえって数値の比較を読み取りにくくすることがあるため、避けた方が無難です。
グラフを入れたら、グラフの下や横に「このグラフから何が言えるのか」という一言のメッセージを必ず添えます。
グラフだけを置いて説明を省略すると、相手によって解釈が分かれてしまうことがあるためです。
今日からできること
今使っている提案資料の中で、文章だけで説明している数値の部分を1つ選び、グラフに置き換えられないか検討してみてください。
資料の中の円グラフを見直し、項目数が多すぎないか、棒グラフの方が適切でないか、確認してみてください。
グラフを入れた箇所には、「このグラフから何が言えるか」という一文が添えられているか、チェックしてみてください。
まとめ
言葉と視覚を組み合わせることで、情報はより深く記憶に残ることが、二重符号化理論という心理学の研究で示されています。
グラフは種類によって伝えられる内容が異なるため、比較には棒グラフ、推移には折れ線グラフ、構成比には円グラフというように、目的に合わせて選びます。
1つの図に1つのメッセージを込め、必ず一言の説明を添えることで、資料の説得力はさらに高まります。
参考にした情報
- ライフハッカー・ジャパン「勉強効率をカンタンに2倍にする方法」(二重符号化理論の解説)https://www.lifehacker.jp/article/2510-how-to-use-the-dual-coding-study-technique/
- Tableau「グラフの種類と使い分け、間違った使い方」https://www.tableau.com/ja-jp/learn/articles/graph-type
- ウイングアーク1st「グラフの種類と使い分け|データを効果的に可視化・比較する活用例を紹介」https://www.wingarc.com/product/motionboard/blog/graph_type.html