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営業での承認・共感スキル:相手を認めることで信頼を構築
9月 25, 2026 ・ 営業サポート
SALES KNOWLEDGE

営業での承認・共感スキル:相手を認めることで信頼を構築

「共感」と「承認」は少し違う

以前の記事(「営業傾聴スキルの磨き方:相手の話を引き出す5つのコツ」)では、ロジャーズの3原則という「聞く姿勢」を扱いました。

今回は、そこから一歩進んで、相手の感情や状況を「言葉にして返す」という、より能動的な技術を扱います。

これは「承認(アクノレッジメント)」と呼ばれ、相手の存在や感情、置かれている状況を、こちらの言葉で認めて返す行為です。

感情に「名前をつける」と、相手は落ち着く:UCLAの脳科学研究

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学者マシュー・リーバーマン氏らの研究チームは2007年、学術誌『Psychological Science』に、感情を言葉にすることの脳への影響を調べたfMRI研究を発表しました。

実験では、不快な感情を引き起こす画像を見せた際、その感情に「怒り」「不安」といった言葉(ラベル)をつけるだけで、感情を処理する脳の部位(扁桃体)の活動が鎮まることが分かりました。

興味深いのは、単に無関係な言葉(人の名前など)をつけても効果はなく、感情そのものを言い当てたときにだけこの効果が現れたという点です。

これを営業の場面に置き換えると、「価格の件でご不安な部分もあるかと思います」というように、顧客が感じていそうな感情を、こちらから言葉にして返すだけで、相手の気持ちが落ち着きやすくなるということです。

言い当てる内容が多少ずれていても構いません。

「気にかけてくれている」という事実そのものが、相手の警戒心を和らげます。

信頼を生む科学:オキシトシンの研究

もう1つ、承認と信頼の関係を裏付ける研究があります。

神経経済学者ポール・ザック氏は2008年、「信頼ゲーム」という実験を通じて、人が他者から信頼される・認められる経験をすると、脳内で「オキシトシン」というホルモンの分泌が増えることを示しました。

オキシトシンの分泌量が多いほど、相手への信頼度も高まる傾向があることが確認されており、ザック氏は、経済活動の基盤にあるのは競争ではなく「信頼」だと主張しています。

営業の文脈で言えば、顧客の発言や判断を頭ごなしに否定せず、まず「なるほど、そう考えられたんですね」と一度受け止めることが、信頼関係の土台を作る行動だということです。

商談での使い方

顧客が価格や条件に難色を示したときは、反論する前に、まず感情をラベリングして返します。

「もう少し検討したい、というお気持ちですね」と一度言葉にするだけで、相手は「分かってもらえた」と感じ、その後の話を聞く姿勢が整いやすくなります。

顧客が過去に下した判断や、これまでの取り組みについて話してくれたときは、内容の是非を評価する前に、「そこまで検討されてきたんですね」と、その努力や経緯そのものを承認します。

反対に避けたいのは、感情を無視してすぐに反論・説得に入ることです。

以前の記事で扱った「示唆質問」や「解決質問」も、この承認のステップを挟んでから使う方が、相手に受け止めてもらいやすくなります。

今日からできること

次の商談で、顧客が何か懸念や意見を口にしたら、反論する前に、その感情を一言で言葉にして返してみてください。

顧客のこれまでの取り組みや判断について、良し悪しを評価する前に、まず「そう考えられたんですね」と受け止める一言を挟んでみてください。

商談の後、承認の一言を挟めた場面と、挟めずに反論から入ってしまった場面を振り返ってみてください。

まとめ

相手の感情に名前をつけて返す「感情のラベリング」は、脳科学的にも相手を落ち着かせる効果が確認されています。

また、承認され信頼される経験は、オキシトシンという信頼のホルモンの分泌を促すことも分かっています。

反論や説得の前に、まず相手を認める一言を挟むこと。

これが、これまでの記事で扱った質問術・傾聴・話法をより効果的にする土台になります。

参考にした情報

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