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営業戦略の立て方:個社別・顧客別アプローチの設計
9月 26, 2026 ・ 営業サポート
SALES KNOWLEDGE

営業戦略の立て方:個社別・顧客別アプローチの設計

すべての顧客に、同じだけの力を注ぐ必要はない

これまでの記事で、質問術、傾聴、資料作成、信頼構築と、商談の中で使える技術を数多く紹介してきました。

ですが、これらすべてを、目の前のすべての顧客に、同じ熱量で注ぎ込む必要があるかというと、正直そうではないと思います。

19世紀のイタリアで、経済学者ヴィルフレド・パレート氏は、法則に気づいたそうです。

当時のイタリアでは、人口のわずか20%が、国全体の富の80%を所有していたのです。

この観察は、後に「パレートの法則」あるいは「80対20の法則」として、経済に限らず、あらゆる分野で語られるようになりました。

営業の世界に当てはめれば、売上の8割は、上位2割の顧客からもたらされている、という形で、多くの現場で実感として語られています。

ただ、ここは正直に書いておきたいのですが、この比率は、あらゆる業種・業態に機械的に当てはまるわけではありません。

特に、小さな取引が無数に積み重なるようなビジネスでは、この偏りが薄まる「ロングテール」と呼ばれる現象も報告されています。

それでも、多くの営業の現場で、顧客ごとの重要度には、明確な偏りがあるという感覚そのものは、広く共有されていると思います。

偏りがあるなら、力の入れ方も変えていい

この偏りを前提にすると、「すべての顧客に同じ量の準備と工夫を注ぐ」という発想そのものが、実はあまり効率的ではないことが見えてきます。

自社にとって特に重要な顧客、つまり取引額が大きい、あるいは今後の関係が長く続く可能性が高い相手には、個社ごとに練り上げた、専用の戦略で臨む。

一方で、そこまで重要度の高くない顧客には、ある程度標準化された、効率重視のアプローチで対応する。

この考え方を体系立てたものが、BtoBの世界で「アカウントベースドセリング」と呼ばれる手法です。

もともとは大企業向けの、専任チームを組んで1社に集中投資するような、かなり大掛かりな戦略として語られることの多い考え方ですが、個人や小規模な事業者にとっても、発想そのものは十分に応用できます。

要は、「どの顧客に、どれだけの時間と工夫を割り当てるか」という、配分の設計図を、感覚ではなく意図的に持つということです。

個社別の戦略を、具体的にどう組み立てるか

まず、自社にとって重要度の高い顧客を、いくつかの基準で洗い出します。

取引額の大きさはもちろんですが、それだけでなく、以前の記事(「営業での長期関係構築:1回の商談ではなく顧客化を目指す戦略」)で扱った通り、この先何年関係が続きそうかという、将来性の視点なども重要です。

重要度の高い顧客が定まったら、その1社ごとに、以前の記事(「営業での顧客情報リサーチ:効果的な事前調査の方法」)で扱ったリサーチを、通常より一段深く行います。

企業の情報だけでなく、以前の記事(「営業で決定権者を見分ける方法:本当の意思決定者に焦点を当てる」)で扱ったDMU、つまり誰が使用者で、誰が決定者なのかという構造まで、個社ごとに図として整理しておきます。

そして、その顧客に対して、どんな順番で、どんな技術を使って関係を深めていくのか、大まかな見取り図を、事前に描いておきます。

これは一度作って終わりではなく、商談を重ねるたびに、実際の反応を見ながら書き直していくものです。

今日からできること

今抱えている顧客を、取引額や今後の関係性を基準に、重要度別に並べ替えてみてください。

上位に来た1社について、これまでの記事で扱った技術(リサーチ、DMU、傾聴、信頼構築)を、意図的にどう組み合わせるか、簡単な見取り図を書いてみてください。

逆に、重要度がそれほど高くない顧客への対応が、必要以上に丁寧になりすぎていないか、一度見直してみてください。

まとめ

すべての顧客に同じ熱量を注ぐことは、一見平等で誠実に見えますが、実際には、限られた時間と労力の配分としては、必ずしも最適ではありません。

パレートの法則が示す偏りを前提に、重要な顧客には個社別の戦略を、それ以外には効率を重視した対応を。

この配分の設計図を持つことが、これまでの記事で積み上げてきた技術を、本当に必要な場所へ届けるための、最後の仕上げになります。

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